札幌大学副学長の本田優子先生に初めてお会いしたのは2013年9月の「北海道シマフクロウの会」の設立総会である。絶滅危惧種に指定されたシマフクロウが熊と並んでアイヌの重要な神様であることから、アイヌ文化研究者の本田先生もこの会に名前を連ねていた。
本田先生は阿寒観光ブランド協議会と連携してシマフクロウの羽をデザインしたペンダントの商品化を進めているらしく、前記設立総会で会長の横内龍三氏ら発起人の方々に銀製の試作品を贈呈した。これを横目で眺めていて、自分の北海道功労賞受賞記念にシマフクロウの羽のタイピンを新しく作ってもらう事を考えた。
本田先生と連絡を取り、先生に上記の件でお会いしたのは北大植物園の近くにある、道立アイヌ民族文化研究センターである。ここにこんな施設があるのを初めて知った。先生は阿寒町に出向くついでに、筆者の希望を阿寒町在住の作家に伝え、まとまった数の銀製のシマフクロウの羽のタイピンが後日出来上がってきた。
この記念品制作のご縁で、先生には11月に筆者の勉強会「eシルクロード大学」でも講師をお願いした。アイヌ民族や文化について知らなかったことを分かり易く説明していただき、他の聴講者にも興味の湧くお話だった。学生相手に場数を踏んでいるだけあって、興味をそそる話をする方だとの印象である。
勉強会で先生の来歴も紹介され、金沢出身の「和人」で、北大の日本史専攻課程を卒業後二風谷に移住し、故萱野茂二風谷アイヌ文化資料館長の助手を11年間続けながらアイヌ文化の研究を行った経歴の持ち主である。この間、「萱野茂のアイヌ語辞典」の編纂などを手がけておられる。
現在は札幌大学に勤務され、アイヌ文化(語)保存や市民に対する啓蒙活動、アイヌ民族の学生支援等を目的にしたウレシパ(育て合う)プロジェクトを立ち上げ、学生たちと活動を続けて来ている。これら一連の活動が企業の社会貢献と結びついて注目され出してきている。その成果として、来年はJR札幌駅の西コンコースにアイヌ文化を表すオブジェも置かれる事を耳にした。JRの車内誌にも先生担当のコラム「ソンコdeソンコ」が連載されている。
注文した銀製品が届いた時、受け取りに前記研究センターに取りに行ったついでに、先生が自分の机のところでお仕事をしているところをパノラマ写真に撮ってみた。突然の撮影申し込みで驚いた様子だったけれど、机の上を少し片付けてこちらに笑顔を向けてくれた。
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