今年(2014年)の北海道IT推進協会新年交礼会で、同協会長森正人氏にパノラマ写真撮影のお願いをした。大寒の日に札幌市中央卸売市場の鼻先にある森氏の会社「サンクレエ」を訪ねる。卸売市場を見下ろす眺めの良いビルの5階にある同社の社長机のところで森氏に立ってもらいパノラマ写真撮影となる。
撮影後森氏と立ち話である。以前に同社を訪問した時にも聞いた記憶はあるのだが、すっかり忘れている「サンクレエ」の社名の意味を聞く。「サン」は会社独立前の所属企業「日藤」の頭文字を英語にしたもので、「クレエ」はフランス語の創造(クリエイト)を意味するそうである。何故ここにフランス語が登場するのかは聞き漏らした。
親会社「日藤」から1989(平成元)年に独立しているので、会社創立からもう四半世紀近く経っている。ソフトウェア会社で主力は機関業務のパッケージソフトである。札幌のソフトウェア業界は、以前はパッケージソフトを独自開発する企業が多かったのに、現在多くの企業は受託開発にシフトしてきている。その中で、パッケージソフトでビジネスを続けてきているのは、企業の活力を維持していくノウハウの蓄積があるからであろう。
そのノウハウの一つは中国瀋陽市の企業との連携である。連携というより支援かもしれない。パノラマ写真の隅の方に中国人社員が写っている。同社には3名の中国人社員が勤めており、連携している中国の会社に派遣されていている。現在そのうちの1名が札幌に来て仕事をしている。中国の連携会社は「瀋陽技盟信息技術有限公司」である。現在の日中関係の状態悪化が業務に支障を来しているか、と森氏に聞いてみる。状況は以前とまったく変わらない、との森氏の返事である。新聞の国全体を対象にした報道と、草の根の日中のビジネス交流はかなりのずれがあるようである。
以前人件費が安いことで中国向けのオフショアが盛んであったのが、今や東京から発注する場合、中国と札幌はほぼ同じ単価であると聞いて、時代は変化していると感じた。オフショア先は中国からベトナム、タイ、ミヤンマーへ移って来ているとのことである。そのベトナムも人件費が高くなって、これから数年で安い人件費のメリットは薄れるだろうとのことである。
ベトナムの話が出て、以前「さっぽろ産業振興財団」主催のベトナム視察団に森氏も加わっていたことを思い出した。視察団は2008年1月中旬に3泊5日の深夜番組(森社長談)みたいにして行われた。筆者が発行していたeSRA広報誌「eシルクロード」(March 2008)に森氏が「ベトナムオフショアビジネス視察会」の一文を寄稿している。視察先のホーチミン市で森氏が撮った、電柱に幾本重なって架かっているのかわからない数の電線束の写真が添えられてあった。
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