大通西21丁目に中国画廊の看板の出ている3階建ての建物がある。昔中国総領事館が札幌に開設された時、建物のオーナーが申し出て、中国総領事館がここに間借りしたことを知る人はほとんど居ないのではなかろうか。
建物のオーナーは東京宅地㈱の國岡氏で、会長の茂夫氏と息子の睦史氏がこの会社を経営している。札幌にあるのに何で会社名に「東京宅地」がついているのか、聞いたような気もするけれどすっかり忘れている。総領事館が建物を建て移った後に「中国画廊」が開設された。
画廊は中国人アーティストの作品を展示し、販売も行っている。これからの中国人アーティストを世に出すお手伝い、という性格の画廊である。講座「身近な都市秘境を歩いてみよう」の講座でも受講生と共に訪れたことがある。館長の國岡睦史氏が対応してくれた。文字通り都市の秘境の画廊という感じがする。
この画廊には別件でお世話になったことがある。筆者は中国長春市でスケッチ展を開催したことがあり、共催した中国人画家馮長収氏が来札するのに力を貸した。大作の中国絵を運んできた馮氏と今度は札幌で二人展を行ったのだが、販売を目的とした馮氏の絵は売れなかった。そこで帰国するのに際して、大きな絵を1枚中国総領事館に寄贈することになり、その仲介を國岡睦史氏にお願いした。絵は無事総領事館に収まったけれど、その絵のその後の顛末については知らない。
國岡睦史氏に画廊の絵をバックにして立ってもらいパノラマ写真を撮る。聞いてみると氏は玉川大学の通信教育で博物館学芸員の資格を取得されている。私設の小さな博物館や美術館で学芸員が居るのは珍しい。
今年(2013年)に88歳になられる茂夫氏は、「日中佛教文化交流中心」に関係しておられ、任意団体の平等院大慈寺を組織して写経活動を行っている。寺の名前はあっても宗教法人ではなく、出家僧も居ない。在家の有志がやっている擬似寺である。宗教法人になって生活(経営か)が安定すると宗教は堕落する、という氏の言葉が耳に残った。
(画廊に立つ國岡睦史氏)
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