銀行内では原則カメラはご法度である。北海道銀行のカウンターの奥の方に北海道を代表する作家の共同制作によるレリーフがあるけれど、これをカメラに収めるのは条件付きの許可を取る必要がある。許可を得てこのレリーフのパノラマ写真を撮ったことがあるけれど、多分このレリーフのパノラマ写真撮影を敢行したのは、自称パノラマ写真家としての筆者しかいないのではなかろうか、と思っている。
日本銀行は都市銀行よりさらに厳しい感じを受ける。ホテルの朝食会で知り合った日本銀行札幌支店長の曽我野秀彦氏に、支店内での氏のパノラマ写真撮影を申し込んだら、意外に簡単に承諾してくれる。最初は銀行内の様子が伝わってくるような場所を考えていただいたようだけれど、やはりそれは無理で、一般市民が出入り出来る展示室での撮影となる。
この部屋は、以前道新文化センターの講座「身近な都市秘境を歩いてみよう」の受講者を連れて訪れたことがあるので、知っている場所である。展示物の内容は以前のものとほとんど変わっていない。この部屋で曽我野氏に立ってもらい撮影である。1万円札を大きくして、福沢諭吉の顔の部分に自分を顔を出して記念撮影を行う看板に、曽我野氏も顔を出してサービスに応じてくれる。
写真撮影後の短時間の雑談で、曽我野氏は札幌支店長就任から1年経過したのを知る。北海道新聞の「けいざい寒風・温風」のコラムの執筆者で、つい先ごろの回では全国的にみて北海道の経済は好調と書いておられた。今回の景気回復のキーワードは「建設」、「消費」、「観光」で、北海道は三拍子そろった地方になるそうである。
しかし、喜んでばかりもいられない。現在銀行は収益につながる投資先が少なく、余った資金で国債を買っている状況で、銀行は預金されても困るのではないかとの質問に、近い将来地方の銀行は預金集めに苦労する時代を迎える話をされた。遺産相続をする子供たちが大都会に住むようになり、高齢者の資産(お金)が大都会に移ってしまう。少子化は地方で顕著で、その点からも貯金に回るお金は見込めない。
人気テレビ番組「半沢直樹」はどこまでリアリティがあるのか、といった筆者の質問に関する話もあったけれど、空き時間を利用しての撮影で、ほんの立ち話(座ってはいたけれど)程度であった。曽我野氏は来年(2014年)4月からは北大でも講義を持たれるとのことで、北大生に面白い話をされるのだろうと思った。
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