HPFhito18・「北海道シマフクロウの会」設立総会での山本純郎氏

 シマフクロウは時々耳にしていたけれど、アイヌの神様にされている鳥で、山の奥にでもいるのだろう、程度の認識しかなかった。それがちょっとしたきっかけで「北海道シマフクロウの会」に加わることになって、この鳥が絶滅危惧種IAの、北海道だけに棲息する貴重な鳥であることを知った。
 前記の会は、北洋銀行会長の横内龍三氏がシマフクロウの保護の為に2013年9月に立ち上げたもので、会の会長は横内氏、副会長に村田正敏北海道新聞社社長、同じく横山清アークス社長が名前を連ねている。
 会費を払っている会員に設立総会の案内が来て出かけてみる。会場には経済人が多く、顔見知りの大西雅之阿寒グランドホテル社長の隣に座る。役員名簿を見ると、氏はこの会の理事の一人である。
 会の様子のパノラマ写真を撮っておくと後で何かの役に立つかと、会議の邪魔にならないように一番後の席のところで目立たないように身体を回転させながら撮影である。横の方に座っている人は会員なのだろうと思っていた。
 事務的な議題が終わり講演会となる。講師として、根室市でシマフクロウの保護と研究を行っている山本純郎氏が登壇する。どこかで見た顔だなと思って、先ほどパノラマ写真を撮った横にいた口ひげの眼鏡をかけた方であると気づく。偶然に講師がパノラマ写真に写っていた。
 山本氏は京都府宮津市生まれで、大阪でシマフクロウと出会ってからシマフクロウに入れ込み、この鳥のため1982年に根室市に移り住むまでになった。一時期は30個体を割るまでに激減していたシマフクロウは、氏の保護活動や環境省、農林水産省の保護増殖事業で140個体程に回復してきている。
 山本氏はシマフクロウの人工孵化にも成功している。怪我をしたシマフクロウを氏の家族全員で世話をした例も紹介されていた。シマフクロウが怪我や事故死に至るのは、自動車や電線によるものであるのを聞くと、人間の生活の利便性追及がシマフクロウの生存に脅威となっているのに気づかされる。
 山本氏と言葉を交わすことはなかったけれど、シマフクロウの保護や研究は大変であると同時にやり甲斐のある仕事である事が、講演から十分理解できた。


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