肩書のいかめしい首席領事のジョエレン・ゴーグ( JoEllen Gorg)さんに初めてお会いしたのは昨年(2014年)の12月である。さらに前の年(2013年)に筆者は北海道功労賞を受賞している関係で、2014年度の受賞式に招待され、その受賞祝賀会でゴーグさんの近くに居合わせた。
こういう席ではどんな方に遭遇するかわからない。気楽に話ししていて、米国総領事館の首席領事と知って驚いた。これは良い機会と、筆者が主宰している勉強会「eシルクロード大学」の講師をお願いしたらあっさりと引き受けていただいた。年明けの翌月には「日本とアメリカ~私たちはつながっている~」のテーマで○×の質問方式の講義をしていただいた。気さくな話し方で、出席者は日米のつながりを再認識した有意義な1時間半であった。
ここまで来ると、これまで気が向いたら取材を続けている「パノラマ写真風土記-人物編」に是非ご登場願いたいと、円山にある米国総領事館まで出向いてインタビューを行う予約を取り付ける。しかし、総領事館はセキュリティのチェックが殊の外厳しく、カメラの持ち込みはできない。仕方ないので、パノラマ写真は後で領事館の外で撮ることにして、インタビューを先にする。
気になっていたのはゴーグさんの名前のJoEllenで、何で文字「E」だけを大文字表記するのかを聞いてみる。これは「E」の文字の前に「O」があり、母音が二つ続くとアメリカ人は二重母音の発音になり「E」をはっきりと発音してもらえないために「E」を大文字にするとの事である。これで思い出したのだが、筆者の名前も「Aoki」と二重母音で、カナダに留学中に「エオキ」とかに近い発音で呼ばれることがあった。
ゴーグさんは知日家で親日家である。札幌の姉妹都市のオレゴン州ポートランド市出身で、高校2年の時ロータリー交換留学生として青森県むつ市にある大湊高校に1年間留学している。この留学時代が楽しかったようで、現在の赴任地まで抱えてきた高校時代の卒業記念アルバムを出したてきて説明してくれる。
日本との縁はその後も続いて、1993年ミネソタ州にあるカールトン大学に入学し、日本語を専攻する。大学2年生の時同志社大学に交換留学生として来日している。大学卒業後はむつ市でJET (Japan Exchange and Teaching) プログラムに携わり3年間仕事をする。1998年にカリフォルニア州にあるモントレー国際大学大学院で国際政策学を専攻して修士号を取得し、2002年に米国国務省に入省する。入省する前に米国平和部隊に入隊してネパールで1年間奉仕活動をしている。ネパールの首都カトマンズで国務省入省のテストを受けて採用された。
日本の外務省での外交官を目指して採用されるためには、上級国家公務員試験をパスせねばならず、海外で平和部隊に参加している若者に、赴任地で日本の外務省が採用試験を行うなど考えられず、日米のキャリアの登用の仕方の大きな差である。グローバルな政策を展開し実行するアメリカは多様な人材を求めており、経済的な海外展開を志向する日本の外交とでは、人材登用の方法でも違いがあるのだろう。
仕事を離れた日常では何をするのか聞いてみると、冬はスキーなどをしているとのことである。少し前に三浦雄一郎氏とスキー場で一緒だった話などが出てくる。大倉山でのジャンプ競技の観戦もするそうである。夏はウォーキングのようで、総領事館に接している北海道神宮境内が好みのウォーキングコースのようである。北海道神宮の宮司とも知り合いらしい。アウトドア派のようである。
好きな日本の食べ物はと聞いて、外国人から返ってくる定番の鮨、刺身、北海道ならジンギスカンを想定していたら「おにぎりと梅干」には意表を突かれた。確かに、山歩きなどをすると「おにぎり」は手軽でおいしいし汗をかいた後での塩分補給は理に適っている。
応接室の本棚には新渡戸稲造に関する著作が並んでいるので、この太平洋の橋にならんとした札幌農学校出身の人物に興味があるようである。前述の勉強会で、ゴーグさんが紹介した、利尻島に上陸して捕えられ長崎で日本で最初の英語教師になったオレゴン州出身のラナルド・マクドナルドの話が思い出された。ゴーグさんが札幌に居る間に、筆者の発行する爪句集に何か作品を、と思っているけれどこれはどうなることやら。
総領事館内は勿論、館の前でも建物が写る写真撮影は禁止ということで、ゴーグさんには札幌市長公邸跡に設置されたワグナー・ナンドールの「母子像・ふるさと」の前までご足労願って、パノラマ写真撮影となる。その後は近くにあるMoma-placeの店舗に入り、3階のギャラリー「レタラ(Retara)」で石彫が展示会があって、ここでもパノラマ写真を撮らせてもらった。ゴーグさんは京都に留学していたので竜安寺の石庭も知っていて、石彫の作家も加えて石庭の話などをした。筆者の個人的な依頼のパノラマ写真撮影にも気軽に応じていただいて、感謝である。
(円山公園ナンドールの彫刻前でのジョエレン・ゴーグさん)
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