ホテルでの朝食会に新しく加わったメンバーと隣り合わせになり、名刺交換となる。名刺の主の川口裕之氏は毎日新聞の北海道支社長として6月に札幌赴任で、赴任後未だ1か月も経っていないとのことである。札幌については知らないだろうと話し掛けると、新聞記者になって最初の勤務先が札幌だったそうで、その後も札幌で仕事をされているので、こちらが札幌の説明をあれこれする状況でもなさそうだ。話の流れで、初対面の当日にパノラマ写真撮影とインタビューを申し込み、即実行である。
毎日新聞北海道支社は道庁の北側のビルの2Fにある。通された応接室から道庁の庭と建物が良く見える。川口氏に道庁の見える窓際に立ってもらいパノラマ写真を撮る。撮影後、短いインタビューとなる。筆者の方は、現役時代には新聞記者からインタビューを受けるのが普通だったのに、最近は新聞人を相手にインタビューし、ブログの記事を書いている。
川口氏は神奈川県伊勢原市出身で、1956年生まれである。伊勢原市は大山(1252 m)がシンボルとなっていて、大山詣りで知られている。落語の演目にも「大山詣り」がある。川口氏は落語好きであり、この演目も鑑賞しているかも知れない。伊勢原市縁の太田道灌の話などが出て来て、道灌が詠んだ歌「七重八重 花は咲けども山吹の 実のひとつだに なきぞ悲しき」が話に織り込まれる。
秦野高校から明治大学に進学して法律を専攻する。卒業後の1981年に毎日新聞社に入社する。どうして新聞社を就職先に選んだかを聞いてみると、中学生の頃新聞に投稿して記事として掲載され、新聞には興味があったことを語ってくれた。入社後の最初の勤務地が札幌となる。
札幌では中央警察署が持ち場で2年間勤め、その後小樽、また札幌に戻り道庁回りをして、計6年間の北海道勤務となる。本社に戻り、社会部の記者として仕事を続け、48歳の時報道部長として再び札幌勤務となっている。
本社では環境庁での仕事に携わったことで、環境問題をテーマとするようになる。本社に「水と緑の地球環境本部」が創設され、その本部長を勤め、ノーベル平和賞を受賞したケニアのワンガリ・マータイ女史の「MOTTAINAI」キャンペーンに賛同する。これは同女史が日本語の「もったいない」を取り込んだ環境保全の運動である。
川口氏に仕事以外にする事などを聞いてみる。前述のように落語が好きで、谷中界隈に出向き、鈴本演芸場で落語をよく聴くそうである。札幌には常設の演芸場はないけれど、来札の落語家の興行があれば足を運ぶことになるのだろう。
以前の勤務時代と比べて、札幌の印象を聞いてみる。街の変化はそれほどでもない一方、夏の緑が東京より鮮やかに感じられるとのことである。札幌での住居のある中ノ島から中島公園を通って、歩いて職場まで来ることもあり、その時目にする札幌の景観は札幌の自然の豊かさを実感させてくれ、環境問題を考える上でも示唆に富むものであると語られた。
(毎日新聞北海道支社応接室の川口裕之氏 2014・7・17)
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